こんな方々のために書きました
- ブルックリン99の大ファン
- シリアスな話題のエピソードを知りたい
- アメリカでの社会問題を知りたい
とてもおもしろいコメディドラマとして、このサイトでもたくさんの紹介をさせていただいている海外ドラマ「ブルックリン・ナインナイン」(以下ブルックリン99)。
そんなブルックリン99ですが、人気なのはただ「面白いから」というだけではありません。コメディドラマの中に現実で起きる「アメリカの社会問題」や誰もが直面しうる「問題」を取り上げられていることです。
ということで今回は、ブルックリン99のシーズン6までに登場した「笑いだけじゃない。シリアスな問題に迫ったエピソード」とその「内容」をまとめご紹介します!
すでにドラマを観ているファンの方でも『あの話にはそんなメッセージが?!』と気づくことがあるかもしれません。是非最後までご覧ください。
職場での女性軽視
シーズン3の4話目「殺人鬼ウーロン」でのエピソード。
ブルックリン99に登場する女性キャラはみんな強い意志をもち、男でも黙らせるほど強いタイプの女性です。それでも職場での女性軽視はあります。
ジェイクたちの大嫌いな男、通称「ハゲタカ」。99分署の署長に上り詰めた彼は、自身の誕生日パーティを企画させようとし、その役目をエイミーとローザにやらせます。
『女はパーティ好きだろ』と一方的な偏見です。完璧な女性軽視ですがハゲタカは何も気にしません。それが当たり前というように。
しかしそこはさすが99分署の頼れる女性警官の2人。逆手にとってハゲタカ自身を自分のパーティで恥をかくように企画してしまうのです。
警察官の殉職
シーズン5の20話目「発砲事件」でのエピソード。
ある発砲事件が起き、たまたま近くにいたローザが現場に向かうことに。ジェイクら99分署のメンバーは心配し、加勢しようとしますが止められてしまいます。
結果としてローザは無事に帰還することができ、その事件も解決しました。しかしかなりの緊張感があり、ジェイクらが心配している様子から「ただ事ではない」ことが伝わります。
アメリカは銃社会です。もちろん日本よりも銃犯罪は多く、その分警察官の殉職率も数倍多いです。
アメリカの銃規制問題は大きな問題であり、しかも銃犯罪は増加傾向にある様子。アメリカの事件がどんだけ恐ろしいかわかるエピソードでした。
父と息子
シーズン2の18話目「父親像」でのエピソード。
久々に父親がジェイクの下に訪れることになり、ウキウキのジェイク。ジェイクとしては「父と息子の絆」を深められるいい機会だと考えていましたが、それは裏切られてしまいます。
ジェイクの父親はジェイクが子供の頃家を出ており、そのせいでジェイクは悲しい思いをしました。そのことが心に残っています。
ドラマでは2人の関係性は面白おかしく描かれていますが、ジェイクにとっては大きな問題です。それゆえか、父親のように慕っているホルト署長のことを、つい『父さん』と呼んでしまうシーンも。
家族間の関係性で、実際に同じような問題を抱えている方も多いと思います。それが描かれたエピソードでした。
被害者家族
シーズン6の6話目「現場に立ち返れ」でのエピソード。
ある殺人事件を担当することになったジェイクとローザ。そこには息子を殺された被害者家族の女性が…
警察官のルールとして「被害者家族に犯人を捕まえると約束してはいけない」というものがありましたが、ジェイクはそれを破ってしまいます。
これは警察官としての気持ちと、いち人間としての気持ちを分けることがどれほど難しいか、というものを表しています。
ジェイクは被害者の母親が自分の母親と重なり、それにより事件に深くのめり込んでしまうことに。このエピソードは彼らも警察官である前に、1人の人間であるということを思い出させてくれます。
LGBTQ
シーズン5の10話目「ゲームナイト」でのエピソード。
自身がバイセクシャルだということをずっと秘密にしてきたローザ。それをチームにもカミングアウトし、その後両親にも伝えることに。
99分署のメンバーはそのカミングアウトを快く受け止めサポートしますが、古い考えの両親はそんなローザに失望します。
それでも一生懸命理解しようとするローザの両親。そして両親に認めてもらえなかったローザも、傷つきつつも自分の意見を曲げずに貫き通します。
これは多くのLGBTQの人に共感できる内容であり、おこりうる事柄。ローザの行動は多くの人に勇気を与えるはずです。
LGBTQとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、ジェンダークィア (LGBTQ) を示す頭文字。
PTSD
シーズン3の17話目「潜入捜査官ピメント」でのエピソード。
極悪マフィア組織に潜入捜査をしていたエイドリアン・ピメント。その期間はなんと12年間。
特にピメントの任された仕事は壮絶なもの。その間に経験した数々の修羅場がトラウマになり、PTSDを引き起こしてしまいます。
PTSD(Post Traumatic Stress Disorder :心的外傷後ストレス障害)とは、死の危険に直面したり、恐ろしい体験をしたことが、自分の意志とは関係なくフラッシュバックのように思い出され、悪夢に見たり、常に緊張と不安が心の中に残り平常な状態を保てなくなること。
それにより普通の生活が難しくなってしまいました。ピメントは寝ているときに叫ぶ悲鳴のせいでアパートを追い出されたり、簡単に人を信用できなくなったり…
ドラマ上それらはおもしろく描かれていますが、PTSDは警察官だけでなく、どんな人にとっても大きな問題です。
人種差別
シーズン4の16話目「モーモー」でのエピソード。
近所で娘の落としたぬいぐるみを探していたテリー。その時、巡回中の白人警官に声をかけられ、何もしていないにもかかわらず勝手に凶悪犯だと決めつけられます。しかも手錠までかけられてしまうテリー。
これはテリーが黒人だったため。立派な人種差別です。
後日テリーが警察官だと知って謝罪する相手の白人警官ですが、その謝罪は「警察官だと知らずにあのようなことをしてすまなかった」というもの。人種差別のことは謝罪する気もありませんでした。
自身のキャリアをふいにしても、差別と闘おうとするテリー。彼が声を上げたために重要なポジションに就くことができませんでした。しかしそれでも「無駄ではない」と署長はねぎらいました。
職場内のセクハラ
シーズン6の8話目「彼の証言、彼女の証言」でのエピソード。
ある会社でおきた性的暴行事件を担当することになったエイミーとジェイク。しかし男性側の証言と女性側の証言が食い違っており、2人は真実は何かを探そうとします。
その中で女性が性的暴行をされそうになったことを知ったエイミーは、女性に法廷で戦うことを助言します。それには彼女の過去に関係が…
エイミーも昔、当時の署長からセクハラを受け泣き寝入りしたことがあったのです。そして、同じような思いをしている女性はたくさんいると知っています。
近年では徐々に認知されてきたセクハラですが、まだまだ根強く残っている問題の1つです。
ホルト署長
最後はエピソードではなく、様々な葛藤を見せてくれるキャラクターを紹介します。それは99分署の署長であるレイモンド・ホルト署長です。
署長は同性愛者でLGBTQの1人。そして黒人。特に署長が若いころは、それらの差別や偏見が今よりもはるかに大きく、それが原因で嫌な思いをしたことも描かれています。
それが故に、署長自ら警察官で働くアフリカ系アメリカン同性愛者のための組織を創設しました。その名も「ニューヨーク市警アフリカ系アメリカ人同性愛者連盟」。
その力もあって、今では同じ境遇の人々が前よりも働きやすくなり、連盟の人数も増えています。
署長のように自ら行動を起こすのは勇気もエネルギーもいることですが、こうゆう姿を見て『自分ひとりじゃない』と感じることができるのは、すごく力強いことだと思います。
まとめ
今回はブルックリン99に登場したシリアスな話題に関するエピソードなどを紹介しました。
コメディドラマでありながらも、このように現代の様々な問題に取り組む姿勢は、見ている人に色々なことを気づかせてくれます。ブルックリン99を観てから意識し始めたファンの方もいるのではないでしょうか?
今回読むまで知らなかった人は、これから意識していくきっかけになればいいなと思います!